上五島 吉村歯科

お歯黒の話

歯を真っ黒に染める風習、お歯黒。ホワイトニングの現代とは、全く逆の習慣ですね。
それでは、いつ頃から広まったのでしょう。
我が国における歴史は古く、奈良時代には、朝鮮半島から伝わっていたと言われています。
そして、平安時代には貴族階級に広がり、男女共に17〜18才で歯を黒く染め、成人であることを表したのです。
歴史上の人物がお歯黒をしている例として、今川義元の肖像画などがあります。
そして元禄時代には、全国各地に広がりましたが、この時期に男子のお歯黒は姿を消したのです。
やがて既婚女性の象徴となりましたが、大正時代には、ほぼ全国からお歯黒の習慣はなくなったのです。
その大正時代に、北陸の農村部では、
「お歯黒の女性に歯医者はいらない。」
と言い伝えられていました。
お歯黒の材料とは、五倍子粉(ふしこ)と、かね水(みず)でした。
ふしこは、渋柿の渋の成分であるタンニンを含み、細菌の侵襲から歯と歯茎を守る作用があります。
かね水は耐酸性を向上させる効果と、歯の表面を覆い、細菌との接触を予防する効果があります
お歯黒は、実用的だったのです。
現代でも、歯科の研究材料となっているそうです。

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